電子カムの意義 - 株式会社モーションシステム
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電子カムの意義

電子カムの意義は,
多軸サーボモータを使用した生産設備機械を
理想的に制御するところにあります。

電子カムとは

機械カムをサーボモータ化して,カムパターン設定をデジタル化して機械構成を容易にするだけではなく,
機械カムでできなかった動きを表現することが,ここで説明する電子カムです。

電子カムの必要性

電子カムを使用せずに,PLC等での位置決め命令(ポイントツーポイントの移動)の組合せによる位置確認とタイマーを駆使したラダー回路にてシーケンスを構築する方法もあります,この位置決め命令の組合せでの大きなメリットとしては,難しい理論を検討しなくてもシステムを構築できるところにあると思います。ただ位置決め命令の組合せだけではどうしても不都合がある場合(後述)にはぜひ電子カム制御を検討下さい。

対象ツールの種類

汎用NC装置(XYZ軸+主軸構成)での構成を,XYZ方向以外の構成で無理に構築すると効率の悪い制御となる場合があります。
弊社電子カム制御ではXYZ方向に分類できない機械であっても構築できます。

主軸

電子カムは,機械カムと同様に仮想主軸を「主」として制御されます。
機械カムでは主軸に対して各ツールが同期して動くことは,電子カムでも同じです。
機械カムの場合では主軸電動機が物理的に存在しているが,電子カムでは仮想主軸となります。
仮想主軸の単位は,機械カムからの考え方を引き継ぐのであれば,一周の単位を360°として速度単位はrpsやrpmとなります,
ただし,カムデータ曲線を自らの計算式より解く場合等では,仮想主軸の横軸は「時間」でないと計算式を解くのに非常に難解になります。

機械カムでの追従性

機械カムでは主軸が定常回転であっても低速回転であっても,主軸角度対するの各ツール軸毎の相関位置は基本的には同期します。例えば下図では機械カム60rpmでの定常速度と,1/4速度の15rpmの低速であっても,主軸角度に対する各ツール位置は基本的に同じ位置を示すはずです,つまり主軸速度よって,各ツール軸の位置がバラつくとか,主軸を一時停止した前後位置でも各ツール軸の位置がバラつくと非常に使いにくい機械となってしまいます。
この追従性に関しては電子カムであっても必要となります。

 

電子カムは確実な繰り返し

電子カムは前もって計算によってスケジュールされたサーボカーブが,時間軸上を正しくなぞりますから,
毎回同じ軌跡を描くことが基本となります。
つまり常に同じ工程を確実に繰り返すシーケンス制御でもありますから,サーボ1軸からのシステムでも意義があります。
各ツール軸の制御は,仮想主軸からの指令に従って位置を出力するのであって,各ツール軸間では補完し合う制御はいたしません,下図はイメージ図です

追従性

機械カム同様に電子カムにおいてもこのバラツキをできる限り小さくする事が必要であり,追従性を高く保つことが必須となります。
追従性を高くするため,指令速度とフィードバック速度との差異(位置偏差)をできる限り小さくする必要があります,

カムデータ曲線

カムデータ曲線は,サイクロイド曲線,変形台形曲線,単弦曲線など多数な曲線があり,その曲線の形状が大きな意義を示しますので,各工作機械毎・各ユーザー毎に特殊なカムデータ曲線を生成する必要があります。
独自のカムデータ曲線を設計したい場合では下記のような条件に従う必要があります。
①カムデータ曲線がサーボモータの許容トルク及び機械系の許容加速度以内であること。
②カムデータ曲線がサーボモータの最高回転数以下,機械系の許容速度以内であること。
③サーボ系に高い追従性が必要
弊社ではカムデータ曲線の自動生成及び運転アプリケーションを容易しています。

 

電子カムでの仮想主軸の運転

仮想主軸は,0°から開始し,指定回数回転後,再び360°で停止する必要があります。
0°近辺で移動があるツール軸に対応するため,0°からは加速開始し,360°に減速停止します。

位置決め命令の組合せだけではどうしても不都合がある場合とは

下図のような,サーボモータ①とサーボモータ②とが移動量が異なるが,加速開始点と減速終了点とで位置決め制御のみで同期運転を行う場合の例です。

 

詳細仕様は、「新規開発した電子カム同期制御」をご覧ください。

本説明は弊社システムの拡販を目的として一般論を記載作成しているため、技術参考文としては抜けている部分及び曖昧な表現のみで完結している部分もあります。